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第9回 インターネットトラブルその2 ネット通販でのクーリングオフやキャンセルの可否


私は、インターネット上の通販サイトで、ある商品の申し込みをしましたが、1か月経っても商品が送られてきません。
支払いは、商品到着後の後払いです。
よって、私は取引は成立してないと考え、別のサイトで同じ商品を購入しました。
その後、先に申し込んだ商品が送られてきました。
もう既に(他から)購入してしまっているので、必要ないので、キャンセルしたいです。
そもそも商品がいつまでたっても送られてこないので他から買ったのです。
この場合クーリングオフはできますか?


ご質問の内容は、2つの問題を含んでいます。
インターネット通販を利用した取引のキャンセルはできるのか?
隔地者(意思伝達を行うのに時間を要する場所・状態にある相手方のこと、取引相手が遠方にいる場合の当事者)間の取引の問題の2つです。
1ネット通販のクーリングオフ
2隔地者間の取引

クーリングオフとは
クーリングオフとは消費者が事業者と一定の契約をした際に、一定の期間内であれば無条件に当該契約を解除できる制度のことです。(事業者が事業上の取引をする場合には、クーリングオフはできません)

通常、法定書面(法律で定められた事項が記載された書面)を受け取った日から8日間(マルチ商法や内職商法等特定の取引については20日間)の間であればクーリングオフができます。
まず、消費者が販売業者とインターネット上で行う売買取引は、特定商取引法の「通信販売」に該当します。
通信販売による、取引の場合は、原則クーリングオフはできません。

クーリングオフの制度趣旨
クーリングオフの制度の趣旨は、消費者が十分に検討する時間が与えられないような不意打ち的な販売方法(訪問販売や電話勧誘販売)により、十分な情報と冷静に検討する機会が与えられず、契約をしてしまうような状態であるところを考慮して、契約締結後に書面による正確な情報を冷静に理解して再度検討する機会を与えるものです。
よって、一定の期間であれば、無条件で解除ができるとして販売業者に対して情報や知識でハンディのある消費者を保護する制度です。
よって、販売業者の店舗や事務所に自ら出かけて行って契約する場合や自らの意思で購入意思を決定できる通信販売のような契約形態には原則適用されません。

通信販売においてキャンセル(契約解除)できる場合
以上のように、通信販売ではクーリングオフが適用されないことを説明しました。
通信販売の場合にはキャンセルは全く認められないのでしょうか?
通信販売を行う販売業者は特定商取引法という法律を守らなければなりません。
特定商取引法の規定では通信販売を行う販売業者は「申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項」を表示しなければなりません。(特定商取引法11条4号)
つまりキャンセルの可否と条件について表示しなければならないのです。
キャンセルできる条件が表示されていれば、その条件に適合すればキャンセルできます。
キャンセルできないとしていても、キャンセルできない旨の表示がされていない場合は
「商品の引渡又は権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまでは売買契約の解除(キャンセル)をすることができます(特定商取引法15条の3第1項)
よって、インターネット通販において、販売サイト上にキャンセルについての説明が全くされていない場合は、原則一定期間内にキャンセルできることになります。
そして、業者と契約を締結したサイトまたは業者のホームページ上でキャンセルに関する説明条項があった場合、その条件に適合しない場合(例:申し込み後、8日以内にキャンセルした場合返金しますという条項があった場合に1か月後にキャンセルした等条件に該当しない場合)は原則キャンセルできません。しかし、「申し込み後は一切キャンセルできません」等の条件の場合は、契約内容如何によっては、信義則違反としてキャンセル条項を無効と主張できる場合もあります。

キャンセルする場合の送料負担
クーリングオフ制度を利用して商品を返品を返品する場合の送料は、販売業者負担となりますが、
クーリングオフを適用しない場合のキャンセルの返品については(販売業者側に落ち度(商品が不良品である等)がない場合)の送料はキャンセルした者の負担となります。

ネット通販取引での契約の成立時期
契約は、購入者が「申し込み」をして、販売者が「承諾」することにより成立します。
例えば、購入申込者がネット上で商品の申し込みの最終段階である「注文完了」(サイトにより表現は様々です。一例として)ボタンをクリックした場合が「申し込み」に該当し、販売業者が例えば、注文受け付け完了のメールを申込者に送信した時点で契約成立です。(サイトにより、申し込みと承諾の表現・方法(メール以外の方法も多数)は多様です。本表現は一例です)
本件の質問ですが、ネット上で申し込み(「申し込み」ですよ。)のボタンをクリックしたが、販売者からの連絡が一切なく、画面上にも何の表示もされなかったと仮定します。
そうした場合、販売者の「承諾」が申込者の方で確認できないので、契約はいまだ成立していないと考えられます。
仮に何の連絡もないまま、商品が送られてきた場合は、商品の到着が販売者の「承諾」となります。この時点で契約成立となります。
購入者は申し込みをしたが、販売者からは「承諾」の連絡がありません。困ってしまいますね。このような場合の取り決めが法律で定められています。
ネット取引のように『「対面での販売」以外の販売』は「隔地者間の取引」といわれます。
販売者が業者である場合は、(個人間の場合は民法)商法が適用されます。
申込者が「いつまでに承諾をしてください」というような承諾期間を定めずに申し込みをした場合(通常ネット通販の場合はこのケースだと思います)販売業者が「相当の期間内」に承諾の通知を発しなかった場合、申し込みは効力を失う。としています(商法508条1項)
「相当の期間」というのは、具体的にどれだけの期間になるのか?ですが、契約内容や目的物により考慮されるようですが、判例によっても特に一定の期間が決まっているわけではありません。(一定の基準でなく、ケースバイケースで相当の期間が決められるということになると考えます)
質問の件では、1か月の期間が経過したとあるので、相当期間内に承諾の通知が発せられていないと考えてよいでしょう。

よって契約は成立していないとして代金の支払い義務は生じないことになります。
「申し込み」に対して承諾の通知が発せられなかった場合は申し込みは効力を失うからです。(商法507・508条)

承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、その効力を失う。

販売業者が「承諾」の意思表示を発したが、申込者に届かなかった場合
販売業者が「承諾」の意思表示をメールもしくは、郵送等の方法(ネット通販で手紙による意思表示はありえないでしょうけど)で発したけれども、
何らかの事情で申込者に届かなかった場合はどうなるのでしょうか?
商法の規定では、承諾の意思表示が申込者に届いていなくても、業者が発信した事実があれば、契約は成立します。(商法508条 商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、その効力を失う。)この考えを発信主義といいます。

しかし、インターネット上の取引において電子計算機等(同法の電子計算機等の定義は電子計算機、ファクシミリ装置、テレックス又は電話機をいうとされています。わかりやすくいうとネット回線上の電子メールは該当します)により承諾通知をする場合について適用される「電子消費者契約法」という法律があり、同法4条で、電子メールにより意思を発信する場合、発信主義を排除しています(同法第四条 民法第五百二十六条第一項及び第五百二十七条の規定は、隔地者間の契約において電子承諾通知を発する場合については、適用しない。)
本件にあてはめてわかりやすくいうと販売業者が
メールによって承諾通知を発した場合でも、販売業者からの「承諾」の通知のメールが申込者に到達しない限り、承諾の効力は発しない。つまり契約は不成立となります。
(しかし、販売業者からの「新たな申し込み」となります。新たな申し込みに対する対応は後述します。商法508条 民法523条)
それでは、販売業者が「相当の期間内」に「承諾の意思表示」を申込者に発したのだけれども、申込者に届いたのが、相当の期間経過後であった場合はどうなるのでしょうか?
「相当の期間内」に申込者に到達しないと効力が発しないので、この場合も到達しないことと同じ効果となり、契約は成立しません。
また、期間内に「承諾」のメールが届いたのだけれども、メールの文字が文字化け等により判読ができなかった場合はどうなるのでしょうか?
この場合も申込者が業者からの「承諾」の意思表示を客観的に正確に理解することが不可能若しくは困難な状況と考えられるので、承諾の通知がされたとはいえないでしょう。


代金の支払いが、商品到着後である場合
代金の支払いが商品到着後に支払うという特約がある場合でも、契約の成立時期は、
原則「申し込み」に対して「承諾」があった時点となります。
代金の支払い時期ではありません。

契約の不成立が確定した後に商品が届いた場合
本件について考えると、商品購入の申し込みをした後に相当の期間内に相手方から
承諾の通知若しくは商品の到達がなかった場合には、申し込みは効力を失い、契約は成立しません。
その後、申し込みした商品が到達した場合、どうなるのでしょうか?
契約の不成立は変わりません。
しかし、商品が届いたことにより、法律的には販売業者からの「新たな申し込み」ということになります。(商法508条2項・民法523条)
民法 523条 申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる。

その場合には、新たな申し込みに対して何らかの「回答」をすべきなのでしょうか?
放置していたら申し込みを承諾したことになるのでしょうか?

このような場合は、消費者と事業者の取引について特定商取引法59条で定められています。
申し込み後、相当な期間経過後の商品到達(期間内であれば申し込みに対する承諾の通知となる)は、申し込みとは関係なく商品を送付した場合(新たな申し込み)と同等にみなされますので、そのような場合に、特商法59条は、「消費者から注文も受けていないにもかかわらず、一方的に商品を送り付けた場合(このような手法をネガティブオプションといいます)は、送付した事業者は、商品受領日から14日以内に(消費者が商品の引き取りを請求した場合は7日)商品を引き取らない場合は、事業者が商品の返還を求めることができなくなります。
もちろん、売買契約は成立していないので商品代金の支払い義務は
ありません。

注意していただきたいのは、今までの一連の説明は、(相当期間経過後に商品が送付された場合の法律的効果として)消費者が「申し込み」をして販売業者の承諾がないと判断できる場合です。(承諾のメールや画面表示がない場合)
ネット上で「申し込み」ボタンをクリックした時点で、注文が確定し、承諾した旨の表示が画面になされた場合は、特に事業者からの「承諾通知」メール等が送信されなくても、画面表示により、法律上の「承諾」はなされているので、契約は成立となると考えられます。

また、申し込み画面上にあらかじめ『申込者が「申し込み」ボタンをクリックした時点で、
当社は承諾を同時におこなったものとする。』旨の記載があった場合や、「WEB画面上の商品表示に対して「申し込み」ボタンをクリックする場合に、その時点で、「申込者は当サイトからの商品販売の表示(申し込み)に対して申込者が「承諾」をしたものとする」旨の注意書きがある場合には、承諾の通知がなされた(契約成立)と解釈される可能性もあるので注意しましょう。


本件について
本件については、申込者が消費者ですが通信販売に該当しうるので、クーリングオフはできません。(※消費者以外の事業者が事業上の取引をする場合には、クーリングオフはできません)
しかし、販売業者がインターネットの画面上や電子メール等で「申し込みに対する承諾」の意思表示をしていない場合、相当期間が経過することによって、「売買契約」は不成立となります。

相当期間経過後に、業者から商品が送られてきた場合は、業者側からの「新たな申し込み」となりますが、申込者は、他から同じ商品を購入しているので「新たな申し込み」に応じる意思はなく、「承諾」の通知を業者に対してしませんでした。
「新たな申し込み」ということは、消費者からの何らの依頼もないのに商品を勝手に送り付ける「ネガティブオプション」という販売形態と同じことになります。

そのまま14日間が経過すると、商品の受領者は、送付した業者に返品する義務はなくなります。
代金の支払い義務もありません。(14日の期間内に「送付された商品」を費消すると新たな申し込みに対する承諾となるので、契約は成立します。その場合、契約成立に伴い、代金支払い義務も生じます。)
よって、商品発送時にクレジットカード等によって代金決済が行われている場合は、業者に返金請求をして代金を返還させる手続きをとることにより返金させる流れとなります。
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